Historical Feature
この歴史は、過去の展示ではなく、民主主義の現在形でもある。
Hiroがアラバマで公民権の歴史に向き合おうと思ったとき、最初に感じたのは「ここは単なる観光テーマではない」 ということでした。記念碑は美しく、橋は静かで、史跡は整備されています。けれどその背後には、 きわめて具体的な暴力、法によって支えられた排除、そして日常のあらゆる場面に浸透した人種差別がありました。 公民権運動の歴史を本当に理解するには、感動的な場面だけではなく、 何に対して人々が立ち上がらなければならなかったのかを見なければなりません。
アメリカの公民権運動は、しばしば数人の英雄や数本の有名な演説によって語られます。もちろん指導者たちの役割は大きい。 けれど歴史の実相は、それだけではありませんでした。バスに乗る人、投票登録を試みる人、子どもを学校へ通わせる親、 逮捕や報復を恐れながら集会へ向かう地域住民。そうした名もない多数の人々の積み重ねが、 歴史を動かしていったのです。
アラバマは、その意味で公民権史の中心舞台のひとつです。モンゴメリーのバス・ボイコット、 バーミングハムでの抗議運動と教会爆破、セルマからモンゴメリーへの行進。 それぞれは別の事件ではなく、差別制度への異議申し立てが地域の異なる場所で噴き出し、 やがて連邦レベルの法改正へつながっていくひとつの流れでした。